奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。三津田信三のデビュー作。次回作が待ちきれなかったので買ってみました。
作家にはデビュー作が100で、2作目3作目が98、96…ってなっていく人もいる中で、これは第1作が100なら「厭物~」は120とか150とかそういう感じ。…ただ、先に刀城言耶シリーズを読んでからだとこれは80とかそういう感じかな…と。
建物にまつわる怪異、という展開ではあるけれど、建物そのものなのか、建物の中にあった○○(一応伏せ)がそもそもの原因かと落着しかけた所で、または最後に出てくる柱の中の○○こそが…? と最後の後味の悪さというか、あと40ページくらいあればいいのに、感がもやもや。
あと、主人公の『私』の体調がだんだん悪くなっていく過程ね。…正直、半分くらい読んだ段階で原因が○○のせい…って解ってしまうのがなんとも。けど体調不良はそれのせいとはいえ、記憶が飛んだり覚えてないうちに原稿書いたりしてるのまでこれのせい…? とは思えない訳で、それが館の呪い(仮)のせいだとするにはなんかこう…いまいち繋がらないというか。体調不良の原因に先に気づいてしまったから余計なのかもしれんけども…。
ただ、作中の文章と、現実の部分とがだんだんだんだん融合していく所は後の「首無」に少し通じる所があるようにも思えたかな…。もちろん完成度は後者の方がはるかに上で、この話だといつの間にか融合しきってて、読み手も(作中の『私』も)どこからが作中作なのかわからなくなっていくような錯覚を覚えるのは面白い反面、わかりにくいなぁ…と。こればっかりは仕方ないけれども。
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