2012年10月20日土曜日

「ウクライナの至宝 -スキタイ黄金美術の煌めき-」大坂歴史博物館

 ウクライナという国のイメージがサッカーW杯での対戦しかなくて、他にはキエフ…キエフの大門…ムソルグスキー…くらいの印象しかないけどポスターが印象的だったのでふらっと見に行ってきました。
 ポスターにもなってる金細工のあれこれは大体中盤あたりやったかな? 鞘なんかは中の鉄が真っ黒になってこびりついたような状態なのに、金の部分だけがすごく鮮やかに残っていて、時代は遡るけどエジプトで永遠を意識して黄金を用いたのにも納得。ホントに、全然違う。

 入り口近くにスキタイの墓として、土饅頭の上に石人(巨大な石棒のような:後により写実的になって埋葬された人に似せてくる)がある塚のような形なんだけど、地下に深い。12mくらい竪坑で掘り下げて、そこに墓室を作るんだとか。後の方にトウスタ=モヒーラ古墳の発掘調査の写真や、短い映像があったんだけど…なんていうか、陪葬? 一緒に墓にはいるアレ。この古墳では後から埋葬されたらしい墓室のみ盗掘にあってなかったらしいけれど、それにしても「護衛」や「御者」やら…広い国土の狩猟民族は陪葬をよくやるイメージがあるのは食料争奪戦が農耕民族よりも熾烈だからかな…安定的な食料を確保するために一定の農耕人口を必要とする農耕民族社会では支配者が死ぬ度に陪葬繰り返してたんでは働き口が減って生産性が下がるし。それはさておいても床板のはられた土の中で綺麗に白骨化した死体は…すごいなぁ…。埋まってないからそのままの形で見つかった首飾りは博物館から門外不出なんだそうな。レプリカが展示されてたけど、うん、コレは凄いわ。

 細々した装飾品が沢山出陳されてたんだけども、動物を模した飾り物がどれもこれも写実的すぎる。日常的にこれらの動物を見て、あるいは飼ってないとできない精巧な作り。
 それ以外の想像上の生き物はウクライナっていう地理的な環境がとても影響してるものが並んでた。例えばメドゥーサ、地中海地域の影響。グリフィンはメソポタミア地方の影響。赤像式アンフォラも地中海地域の影響…。

 それから気になったのは青銅製品。日本だとどうしても青銅製品といえば出土品を連想して青サビが浮いたものが多いけれど、黒い。光沢が失われて黒いんだけど、装飾性は断然同じ時代の古代中国の方が高い(むしろこっちは無地)けれど、何にしても薄い。すごく薄い。それと、ものによって青銅製品なんだけど色合いというか模様がまるで木製品みたいな木目・飴色をしてるものがあって…あれはどうなってるんだろう。

 そんなこんなで概ね満足した展示だったのだけれど、一つ不満というか…ツメが甘いわ! と思ったのが、これ、巡回展なんよね。巡回展やからいく先々の博物館で多少順番を前後させつつ、ハコにあうように展示を組み立てるから展示番号が変わることもあるんだろうなー…ってのは解る。解るよ。けど「○番の展示品を見てね」ってわざわざつけた補足パネルの番号がてんでバラバラってどういうことですか。例えば「○番の壺を見てね」ってあるのにその○番はどう見たって壺じゃないどころか…っていうね。

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