2010年10月10日日曜日

「茶すり山古墳-巨大円墳に眠る但馬の王-」兵庫県立考古博物館

兵庫県立考古博物館
 兵庫県立考古博物館で開催中の特別展「茶すり山古墳-巨大円墳に眠る但馬の王-」を見に行ってきました。特展もさることながら、この博物館、とにかく子供向けの体験が凄い、と出来た当時から評判で、一度見に行きたいとは思っていたので、秋の関西1dayパス(¥2,900)を使って行ってきました。…だって自宅の最寄り駅から土山まで2000円以上かかるんやもん…何か色々理由でも付けんと行きにくいわ…。
 そんな訳でJR土山から歩くこと1キロちょっと。…うん、地味~に遠い。まぁたかが1キロなんだけどもされど1キロ。それでも遊歩道が整備されているのでとても歩きやすいです。…安土駅から博物館まで特に何もない農道をてくてくてくてく歩くことを思えば近いと思います。キンモクセイの良い香りもしてたしねー。
 で、まずは入口杯ってすぐの土器の展示。壺・甕・皿・高坏・坏蓋…が壁にずらっと時代を追って展示されてる。…ちょ、すごい。入口からテンション上がる。こういう入口入ってすぐ、チケット買うまでに見られる部分の展示ってなんていうか「掴み」な気がする。たとえばオルメカ展だったら巨大なオルメカヘッドがどどんと置かれてたし、水木しげる展なら一旦木綿と写真が撮れた。ツタンカーメンと石像の展示なら石像頭部が置かれてた。勿論ふらっと博物館に来る人ってのはごくごく稀で、ほとんどの、それこそ博物館に来る9割以上の人は「チケットを買って(あるいは既に持ってて)展示を見る」為に来るんだからそんな無料で見られる所に物を置かなくったってぶっちゃけ入場者数には影響しないと思うんだ。でもここの展示が面白いかどうか、エントランスが楽しいかどうかって、お客の立場だと結構…なんて言うか、予告というかあらすじみたいな気がするというか。先にも書いたけど「掴み」。この博物館はこういう方向で常設展をしてて…っていうのがそこに見える気がする。特展の場合は「この先にはこういうのがあるよ」っていう期待を抱かせる要素っていうか。エントランスで受けた印象を持ったまま博物館の中を見るんだから、ここで「何だこの程度か」とか「手抜き」とか思われたら展示見る前から心証マイナスっていうか。そういう意味ではこのロビー展示も大事なんじゃないかなーとか思ってみたり。
 で、ひとまずは特展の方を見てみました。隣の体験学習コーナーも凄く気になったけど先ずは本来の目的。
 所変われば品変わる、古墳も変わる。…まぁ当たり前と言えば当たり前なんだろうけども。鎧やら刀剣類を副葬された大規模古墳。武力を持ってその地位を得た王。大量の剣…なんていうか、滋賀県ではお目に掛からないものを沢山見られた。勿論余所の古墳の名前とか全然解らんから、ぬののふくひのきのぼうを装備したレベルなんだけども(ドラクエかよ)、それでもへぇ~と思いつつ見てました。竪櫛がいくつも出てたけど、どれも…随分小さいなーっていう印象。鏡にしても3枚しかないし、その代わり鎧と剣が沢山納められてたようで、ここでは何がより重要だったか(鏡よりも剣の方が重要)が見える気がする。
 あと、復元品が並べて置いてあるのが解りやすくてよかったかなーと。剣も、刀装も布の盾にしても。古墳の埋葬主体部も実物大でパネルにして床に置いてあって、それぞれどこから何が出たかがキャプションで置いてある。…ふむふむこういう展示の仕方もあるのね…何も実物レプリカでなくても写真引き延ばしパネルでも全然いいんじゃない…。
 ここで時間食い過ぎて常設展と体験コーナーは駆け足で。…っていうかそんなに広くもない特展室で1時間って…。
 常設展示は…面白いの一言。ほんとに面白い。ディスプレイ方法が一々上手い。骨の展示が面白かった。骨折の跡のある骨とか、妊娠・出産経験の跡がある骨とか、明石原人の骨の復元レプリカとか、顔を赤く塗られて埋葬された骨とか。…人骨好きな私には最初の展示室がものっすごく楽しかったです。とはいえ、一つの石棺に3人の大人の骨が納められてた写真。…いや、ほんとよく入ったな、と。夏前に滋賀県の宇佐山で見つかった石棺もえらい小さくて死後間もない人間を押し込むのは大変やろなーってサイズだったのに、これには3人も入ってる。骨になってなおギッチギチ。…どうやって入れたんホンマ…。
 時代が下って漁労や狩猟の様子も人形使って説明されてるんだけど、これがまた上手いんだ。柱の影に隠れて様子をうかがう呈の人形もあれば、丸木舟を敢えて目線より高くに配置してそこから網を下ろしている様子が目の前に見られるようにしてあったり。
 古墳時代のコーナーでは壁から伸びる手が武器を握ってて、戦いの様子をうかがわせる音声・映像がずっと流れてる。「おとうさーん!」って叫び声まではいるかどうかちょっとギモンだけども。
 あと、これ面白い! と思ったのは古墳の輪切りミニチュア。前方後円墳が4段くらいに輪切りにされてて、それぞれスライドして中を見ることが出来る…って物。石棺を組み立ててみよう! ってのも隣にあったのでやってみました。
 夏に佐倉の歴博で見たような金細工のピアスも展示されてて、チェーン部分の拡大写真が沿えてあった。…今のチェーンと全然変わらない構造…歴博で見た時はよく見えんかったけど、拡大してもらうとほんとに、今のと全然変わらない…凄い細かい仕事…。
 中世の所では兵庫で焼かれた焼き物を京都に届けようすごろくがあったりして。いやー面白いねぇ…しかもこのすごろくが置いてある床、ガラス張りで足下には窯跡から出てきた陶器の破片(失敗作とかを割ったやつかな?)がぎっしり敷き詰められてるんだ。視覚効果も上手いなー。
 それから体験学習コーナーでは模擬発掘体験というか、砂場に色んな遺物が埋められているのを見つけてみよう、みたいな。発掘調査の様子を再現してあって、道具の紹介もあった。週末のみの実施らしく、この日は監視員さんが一人座ってはったのみ。…いや、えらいすいませんいい大人がたのしそーに見学してて。

 なんでこんな好き放題してきたかって朝イチで(土山に着いたのが10時半)、しかも平日に(金曜日)行ったもんだから誰もいなかったんだよ…監視員さんしかいなかい展示室でそらもー好き放題同じ所をぐるぐるしたり同じ品物の周りをぐるぐるしたりミニチュア触ってみたり(ちゃんと触ってもいいやつです)…時間ないなりに満喫。
 あと、常設の数カ所でそれぞれの時代の衣装を着てみよう、みたいなコーナーもあって…いや、流石にこれには手を出さなかったけども。小学生くらいの子供連れとかで来たら楽しいんじゃないかなと。

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