岡山遠征の時期にこんな面白い展示をしてるなんて…! 行かずにおれようか、無理(即答) というわけで行って来ました。後楽園のチケット売り場の前にあるんだけどみんな後楽園に吸い込まれていく…。こぢんまりとした博物館ながら、第1、第2展示室は岡山の歴史、第3展示室がこの変わり兜の特別展、第4展示室は備前といえば刀! とばかりに備前刀の展示がありました。…備前刀といえば備前長船刀剣博物館の特展もとても心惹かれるんだよなぁ…。
そういえば後楽園までの橋の上でファジユニ着用でタオマフも帽子も装備した自転車をこぐおじさんとすれ違いました。……早くない…!?(10時過ぎ)
何が面白かったって…いやほんと全部。
動物モチーフなら蟹(ハサミだけとかじゃなく、ホントに蟹が乗ってる)(蟹形兜|岩国美術館)とかよく見かけるトンボの前立て(帽子形兜|岩国美術館)も。
貝はその硬さで「守りが堅い」という意味での人気っぷりと、ハマグリのような二枚貝は一対でしかぴたっとはまらない(だから女性の慎みが云々でひな祭りのお吸い物にも)から「二君に仕えない」っていう武士の気概を表して人気…という説明があったけれど、変わり兜をかぶるような武将は自分一人の身ではないから…そりゃ生涯一人(一家)に仕えるのは理想ではあるけれど、一族郎党の命運握ってる訳だから真田昌幸や藤堂高虎のように主君を変えることは決して悪いことじゃないよね。
黒田の水牛兜は実物は来てなくて(写真)代わりに黒田二十四騎の軸があったんだけど…これがまた変わり兜の見本市状態。
江戸時代の蝶形兜(デフォルメされた蝶…っぽい形)(岩国美術館)の吹き替えし部分に六文銭が描かれてたんだけど、とっさに連想する真田の文字はなかったから真田に限らず「六文銭=三途の川の渡し賃」としてモチーフに使われてたのかな。
あと、一見してサザエみたいに見えたんだけど出品目録見たら「唐人笠形兜(岩国美術館)」ってあった。サザエの凹凸少なめ、みたいな形。
無機物だと釘(大釘付頭形兜|赤穂市大石神社)とか錐(錐形兜|個人蔵)、どちらも「打ち抜く」にかけた縁起担ぎらしい。錐の方は吹き返しの位置に「大」「小」ってそれぞれ両脇に文字を入れてて、「大きなものから小さなものまで打ち抜く…」ってあったんだけどとっさに脳裏をよぎったのは「大きなものから小さなものまで動かす力だヤンマーディーゼル♪」っていうヤン坊マー坊天気予報のおなじみの歌でした。ありがち。
特に説明書きがなかったんだけど、前立て部分におみくじを結んだような形の銀色の飾りがついてるものがあって(黒塗張抜尖冠形兜|林原美術館)これは何を意味してるのかなー?
宗教的な守護を求めるものとしては、水牛の角の間に宝珠を乗せてるのやら(左三巴紋紺糸威二枚胴具足|岡山市清山神社)鬼の顔を乗せて両脇にひょうたんをデフォルメして角みたいに見せてるのとか(投頭巾形兜|岩国美術館)…これは鬼はともかくとしてなんでひょうたんなんだろう…?
植物だとお馴染みのオモダカ(沢瀉形兜|個人蔵)や福を呼び邪を祓う菊(菊重形兜|個人蔵)が並んでた。
意外なモチーフとしては、自然現象。山の文字をあしらったもの(縦矧雑賀兜|個人蔵)や一見見事な茶巾絞りなんだけど前に炎の前立てをつけて噴火する山のようにも見える茶巾形兜(個人蔵)、波涛を表した波頭形兜(個人蔵)など、大自然の霊力(自然には霊力が宿っている)に加護を求めるものが何点か。
毛皮で頭髪を表現(一見して兜を被ってないかのように見せるらしい)したものは1点のみ(総髪形兜|個人蔵)で、三成の兜でおなじみのような乱髪ではなくて…いがぐり頭に近いくらいの短髪。
今回の出品物の借り出し元見たら岩国美術館がかなりの数を占めてて、それ以外にも中国地方の博物館が多い。個人的にも変わり兜といえば毛利家あたりに多い、と思ってるんだけど。これは中国地方っていう地域が首長制みたいな国人領主の合議で成り立ってる連合国だった時代が他の地域よりも長かった名残なのかな…?
などなど、全部で44点。入場券も大人250円ですごく安いし、隣の展示室では備前刀の展示もしてるし…で好きな人なら2時間くらい過ごせると思う。
常設展示室で備前焼のすり鉢(瀬戸内の沈船から引き上げられたもの)を見たけれど……うん、確かにこれは信楽焼のすり鉢に比べて高級品だわ、と妙な納得。
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