キリストの聖杯をめぐる事件から数年が経ち、ハーヴァード大で教鞭を執る静かな生活を送っていたラングドンに、旧友から連絡が入る。フリーメイソン最高位の資格を持つスミソニアン協会会長ピーター・ソロモンからで、急遽講演の代役を頼みたいという。会場である連邦議会議事堂に駆けつけるが、そこにピーターの姿はなく、切断された右手首が……薬指には見覚えのある金の指輪。フリーメイソンの紋章をあしらったその指輪は、ピーターのものに間違いない。ピーターを人質に取ったというマラーク(悪霊)と名乗る謎の男は、ラングドンに“古の門”を探せと命じる。ピーターの右手の指先に施された独特の刺青が“古の門” の先にある“古の神秘”を指し示す図像であることにラングドンは気付く。誘拐犯マラークの目的は、この恐るべき力を持つとされる“古の秘密”を手に入れることにあるのは明らかだった。ラングドンは駆けつけたCIA警備局長サトウと共に、まずは、“古の門”の捜索に乗り出すのだが……。ネタに困った時は読んだ本の感想とか…とはいえ5月に入ってからは漫画しか読んでないような気がするからちょっと前に読んだダン・ブラウンの新刊でも。発売日に偶々本屋に寄って(特に目的は無くても週3くらいで本屋にふらっと…)買って帰ってその日のうちに読み始めた割に、読み終わったのは1週間後。…うち6日放置っていたとも言う。
以下ネタバレ含む感想。
シリーズ最新作、だけども私が一番好きなのは『天使と悪魔』だな、と。『天使と悪魔』>『ダヴィンチ・コード』>>>『ロスト・シンボル』…って感じ。前2作は美術的(中世美術は信仰と密接に関係してるからそういう意味では信仰面も)な要素が結構強くて、出てくる作品や場所も有名な場所だったりして面白く見ていたのだけれど、今回は科学的な面が強くて場所もワシントンの一角。ワシントンも確かに観光地なんだろうけど、政治的な場所というニュアンスが強くてイマイチ…なんて言うんだろう…心惹かれないというか。これは私が中世という時代の神秘性(神秘主義?)の方をより好むだけで、科学的な(その中に神秘主義があっても外面は現代科学)方面が好きな人はまた別の評価をするとは思う。キリスト教的な部分が現代科学に息づいている事は十分に解るのだけれど、キリスト教徒でない私にはその意味するところまでは解らない。だって精神的土台が違うんだもの。前2作はキリスト教的な精神的土台が無くても美術的な意味で楽しめたんだけども…
あと、読んでて疲れる原因は多分タイムリミットが随分短く設定されてるせい。2冊の間の作中時間がかなり短い。…の割に起こる出来事は全てが矢継ぎ早で結構付いていくのに必死。…の割に読み終わった時に作中経過時間が短いから記憶に印象として残りにくい。ジャンルは全然違うけど、創竜伝で1冊丸ごと使って半日しか進んでないよーな、そんな感じ。結構な分量(上下巻)を読んだのにスゴくさらっと脳内完結してしまうというか。
個別の内容については…ワシントンの地理が解らないので距離感とかさっぱり。前2作より狭い範囲が舞台なだけに、位置関係がより重要になっている気がする。『とりあえず離れてる』『とりあえずそこそこ近い』では済まなくて、『○○の隣には××があってその向こうに△△がある』くらいの扱い。…ええ、途中から位置関係の整理を放棄しました。
登場する科学技術については『スゴいなぁ』としか思えない凡人なので特に何も言及する余地はなし…。
にしてもあの超人は不気味すぎる。前2作に出てくる『超人(のような存在)』とは別枠だわ。精神力云々という話ではなく、薬物を含む肉体改造で作られた超人だから余計に不気味に思うのかも知れんけど。
でもってそれぞれの向かう先、というか、目的? があんまりにも不透明で(その後明らかになった事柄にしても)ついて行けない。登場人物の誰かに感情移入して読むって人が多いと思うんだけど(逆に『コイツには同意出来ない』という逆のパターンもあり)、今回はホントに『誰が何を目的にしているのか』が解らない。主人公は目的が解らないまま目の前の問題を砕いていくけれど、目的がない人物にはそら感情移入出来んわな…。
あと、最後に白状するけど、エピローグ部分を最後まで読んでません。ラスト10P位で正直行って限界に達したので本を閉じました。それまではスピード感に押し流されるように、深く考えないで(本当に必要で、そうしたいと思うならもう一度読み返せばいいし)とりあえずページを捲り続けていたけれど、マラークが死んで、追い立てていたスピードが無くなったら途端に…これまで勢いに任せて見ない振りをしていた『よく解らない事』がどっと表に。「君の足下に英知が」な辺りで終わっておいてくれればとてもスッキリしたと結構本気で思っています。
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