2011年10月30日日曜日

「第63回正倉院展」奈良国立博物館

 朝一(とはいえついてから年間パスの更新とかしてたから結局並んだのは10時前)で行ったものの、入場待ち時間45分でした。開幕二日目ならまぁそんなもんか…。11時頃になると入場待ち列はずいぶん短くなっているので、意外とこの昼前って時間は狙い目なのかも。団体さんは朝一が多そうなイメージ。
 しっかし45分も待って入場して、中はものすごい混雑で、展示ケースの前で品物を見られるのはせいぜい半分もあれば上等で。…まぁ気長に気長に一々あってないような列に並ぶなら全部一番前で見られるんだけどさ。そんな…そこまでする気力はないわ…。
 今年の一番の目玉(だと思う、図録の表紙にもなってるし)の金銀鈿荘唐大刀を間近で見るためには展示室内で更に明確な待機列がありましたよ…そしてガラスの前では「立ち止まらないでください」……うーん…どうなんやろね。普通の博物館が普及のために収集・展示してるのとは根本的に異なる「宝物を見せてやってる」展示な訳だから、ひと目見られるだけでもありがたいと思え、といわれればそのとおりなんだけど。公共財というよりもある意味、私物な訳だし。だから結局、博物館で実物を見て、サイズはなんとなくつかんどいて、後は図録で細かいところを見る、って感じかなぁ…正倉院展って。
 それはさておいてもこの大刀の鞘の装飾はすごかったですよ。ちっさいガラス玉の装飾がほんとに細かくて。柄部分の鮫皮(エイ皮)もものすごい残りがいい…ほんとに聖武天皇の時代か…? って思うくらい。江戸時代の刀の柄の鮫皮とおんなじかそれ以上に綺麗やで…。

 それから今回の有名所は黄熟香、通称蘭奢待。歴史上の有名人が楽しんだとかいういわゆる香木。…織田信長が楽しんだ香り、とかいうことになってるけど別に信長は直接切り取った訳でもなければ一切手元に置きもせず実物も見てないとかそういうのはまぁ置いといて、資料集によく写真のってるやつ。…うん、写真のまんま。当たり前といえば当たり前なんだけど、「写真で見てたときは○○やったけど実際見たら細かいところは~やった」…っていうのが特になかった…。まぁ…人の手が入ってない(削りとるところ以外には)香木本体やもんなぁ…。
 今回は大仏開眼等に関する儀式用具(幡とか伎楽面)がまっさきに来てて、香木もそのコーナーに。後は大刀の他に小刀が数点、どれもサイの角を柄にしてる…うわぁ高級品(当たり前だ)。それから同じ儀式用具つながりで献物台とそれに伴う布など。布類は復元品も展示されてた。
 復元、って書いてあると途端に「なんやレプリカか」って興味無くす人が沢山周りにいたけど、いやいやいや。復元ってこれ、蚕からして激レアな蚕使ってんねんで!? こんなけ沢山復元するのに純国産蚕って今一般的に出まわってる蚕より小さいから何年かかって作ったと…! でもって復元品にある模様は実物でもまだしっかり見えるんだよ。…すごいわ…なにこの保存状態。
 それから文書系としては去年、正倉院から持ち出された2振りの剣が大仏の足元から見つかったものと一致した、っていうことがあったから、正倉院宝物そのものに関する管理台帳的なのが並んでた。去年話題になった剣を「除籍」した部分もあった。
 最後の方にあった四神と十二支がある大型鏡とか、面白かったんだけどちょっと…文書に混ざって置かれてたから…東大寺関係、っていうコーナーなんだろうけど、カラーがわかりにくかったかなぁ…。
 今年はその他の楽器類・娯楽用品類が一切なし。動植物遺体も…香木以外はなかったなぁ。…そういう意味では初出陳はいつもより多いし、刀とか名の知れてる香木とか、ビッグネームはあるけれども変わり種みたいなのはなかったな…。唯一変わり種? かも? と思えたのは鉄三鈷。モリみたいな形で先っぽが尖ってるの。とこれを入れる桜材のケース。ジャストサイズで作ってあって蓋もはめ込み式。けど一時期の貂とか人面椰子の実とかの変わり種には負けるなぁ…。

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