2012年8月27日月曜日

「頼朝と重源 -東大寺再興を支えた鎌倉と奈良の絆-」奈良国立博物館

頼朝と重源|奈良国立博物館
平成24年7月21日(土)~9月17日(月・祝)


 本来の目的は名品展だったのだけれど、せっかくなので見てきました。
 いやー1品目からさすがの奈良博クオリティ。鎌倉時代の開眼会では天平時代に使った筆が使われた、とかさらっと書かれてるけど、400年以上前に使った筆が位置情報も確かに保管されててしかも使用可能な状態って凄いことじゃないの…。実際に展示されてたのは大正時代に使われたもの(天平・鎌倉で使われたものを元にして作られたレプリカ)っていうけどこれはこれで100年前のやん…。
 展示品一覧の片隅にちょろっと書かれてる

 112件※うち国宝16件、重要文化財54件

 って実はとんでもなく凄いことですよね半分以上が国宝もしくは重文、そうでないもののうち幾らかはレプリカだということを思えば…すごすぎる。

 特に興味深かったのは大仏殿再興に向けて重源らが伊勢神宮に詣でたっていうくだり、西行も大仏建立に先立って伊勢詣をしたというから、ここらへんが現代的な神仏分離の感覚からは不思議に思うなぁ…。というか、たった100年そこらの神仏分離でここまで違和感覚えるくらいに刷り込まれるんだから、トップダウンの宗教観って実は凄い威力なんじゃないか。

 で、本来の目的は名品展の書画の所でやってた地獄絵の特集展示。
 今年の夏はどういう訳か、こういう地獄とか妖怪とか、それぞれに切り口は違うけどもこういうテーマの展示が多かったように思う。
 奈良博の地獄絵展示は本当に『地獄』に特化してた。往生要集とかに書かれた死後に、生前の所業によって振り分けられる先の地獄の様子。それから死後○日を担当する十王の軸。この十王の軸は面白かったなー。後ろに本地仏が描かれてるあたり、この地獄絵が娯楽ではなく仏教布教の手段として寺にかけられてたのにも納得。
 いや、しかし赤の色彩は残りがいいから血反吐吐いてたりすり潰されたりしてる姿がかなりグロい。骸骨の描写とか、今と基本的には変わらないのもあって、ちょっと昔風に描いたグロ漫画、で通じそうな。鳥獣戯画の時代からの擬人化手法といい、日本人の考えることって数百年たっても変わらないというか、このご先祖あって今の漫画文化というか。そんなことも思いながら見てました。面白かった。

0 件のコメント:

コメントを投稿