2012年8月3日金曜日

「幽霊・妖怪画大全集」福岡市博物館

志賀島出土の金印の実物を常設展示している福岡市博物館。前日に行った九博ではレプリカが置かれてたけども。実物の常設展示といえば母里太兵衛の大身槍も特集展示コーナーに常設で置かれているそうで…いや、もうなんかすごい豪華。秀吉から黒田長政への下賜品ってのも納得の豪華な螺鈿細工と刀身の飾りですよ。…ホンマにこの豪華な槍を担いで戦に出たんかいな…こんな豪華な螺鈿細工が血をすったんやろか…。

 そんな感じで常設もすごく見応え抜群。

 しかし今回の目的は特展。来年4月に大阪、7月に神奈川に巡回してくるらしいのでもっかい見に行きたい。

福岡市博物館|幽霊・妖怪画大全集


 先に全体的な展示の構成とか演出方法についてだけど、入り口は一見してお化け屋敷風味。作品ごとの題簽にはキャッチコピーがついていて、これも全部についてるのはすごいなぁ…子供向けの追加解説?パネルみたいなのもあって、それは幽霊の自分語りで自己紹介的なものだったりでクスっと笑ってしまうようなものも。こういうキャッチコピーだとか、幽霊の独り語りだとか、YKI48と銘打った総選挙だとか、そういう演出を「不真面目」と切ってしまうのは簡単だけど、真面目なこと(これは○○の流れを組む表現方法で云々)だけを書いてても子どもは見に来ないし、イコール、その保護者世代も来ない。一部の「マニアック」な「博物館マニア」だとか「妖怪マニア」だけをターゲットにしていては採算なんて元から厳しいのに…これはほとんどすべての博物館にも言える事だと思うけども、一部の客層(○○オタ、であったり戦国歴女であったり)に媚びろとまでは言わないけれど、学術学術とお高く止まって殿様商売なんかしてたら客は来ないよ。そういう意味ではこういう敷居を下げる演出は必要だと思う。

 実際すごく面白かったし。

 しかもこの時期、全国で妖怪だとか怖い話にまつわる展示をしてるからそれらとの差別化も必要だと思う。今ぱっと思いつくだけでも西尾市岩瀬文庫、奈良国立博物館、安土城考古博物館でそれぞれ妖怪やら地獄絵の展示が開催中だし。

 さて、展示の構成とか、面白かった所とかも書きたいんだけど…もうぶっちゃけ全部、としか。解説も面白いし、モノも面白いしでじっくり見ていったら半分見終わる頃には1時間経ってたっていうね。時間には余裕を持ってお越しください…。音声解説も面白そうだったんだけどちょっと時間的な都合で借りなかった…大阪では借りてみようと思うわ。
 一部の有名・定番の浮世絵についてはつい最近もどっかで見たような…特に動物コーナーにあった化け猫関連の猫が集まって化け猫の顔になってるやつとか、歌舞伎の1場面のやつは先月行った太田記念美術館の浮世絵猫百景でも見たかな。
 なんにせよ時間が足りない。あと、説明書きが一々おもしろいもんだから、私もそうなんだけど全部じっくり読もうとするから部分的に人が滞留して順番待ちになる所があった。けど元々広くスペースが取ってあるから(途中にベンチもあるし)そんなに気になるほどではない。土日の混雑具合は読めないけれど…あと、大阪や神奈川に来たらそれなりの混雑は覚悟せなあかんかなぁ…。
 図録は巡回するとはいえこの規模の博物館の図録(しかも館蔵品が多い)にしてはお高い2000円。…とはいえ2センチくらいあるし、フルカラーだし、遊び紙も手が込んでるし中にも折込のページがあったりして…凝ってる。もちろん展示作品は全作掲載でキャッチコピーもそのまま収録。子供向けの部分が載ってないのは…うん…もったいないけど仕方ないのかなぁ…多分制作順序からして図録入稿してから追加であの説明パネル作ってそうだし。入館料の大人1200円といい、この内容でこの入館料、図録のクオリティに対してこの値段、はとても適当だと思う。むしろこのクオリティの図録ならエジプト展とかだと3000円超える値段で売られてることが多いかなぁ…って印象。なので買うことに全くためらいはなかったです。…そして帰りの荷物が重いっていうね。

 近所に住んでたら多分会期中に週1で通うかもしれんくらい面白かったです。オススメ。

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