2011年4月3日日曜日

『七人の鬼ごっこ』三津田信三

秘密の場所が結びつけた子供たち。彼らは成長し、それぞれの生活に追われていた。そんな中、懐かしい人物からの電話が、彼らが封印したはずの記憶を蘇えらせた。ひとり、またひとりいなくなる…。電話のベルは死の鬼ごっこの始まりの合図なのか?メンバーの一人であるホラーミステリ作家が、この不可解な事件に巻き込まれていく―。
 木曜日に本屋で見かけて迷わず買った新刊。青春18切符アウスタ遠征の電車で読み切りました。
 設定時代は現代(平成)で死相学探偵シリーズの「六蠱」の前。この作者のシリーズはそれぞれ同じ「世界」にあるので、この本でも最後に「六蠱」の話題がさらっと出てくる以外にも刀城シリーズに出てくる作中作のタイトルが出てくる。読んでなくても全く支障はないけど全部読んでるとなお楽しい。

以下、記事を書いた段階では発売から間もない本のネタバレを含むかもしれない感想です。

 で、内容はやっぱりホラーミステリー。それでもちゃんと犯人は生身の人間。ただ、やっぱりどこまでが人間の仕業で、どこからが「人ではないもの」の仕業なのか…ってところがホラー。それでも刀城シリーズよりはミステリの比率が高かった気がする。
 現代社会の心や、一見して暗闇が無いかのような街中のふとした闇に潜む怪異…という怖さではなかったかな。いや、電話の向こうから得体の知れない何かがやってくるんだけど、これは人間の犯行に「手を貸そうとする」ヒトならぬ存在の意思なのか、それを狙った「あくまで人間の仕業」なのか。一回読んだだけではなんとも。前者にしてはタイミングが良すぎる(打ち合わせた訳でもないのに協力的過ぎる)というか。
 1960~70年代という、私には微妙に想像しにくい時代に端を発する事件なんだけども、その、「場所」とか、「奉られているモノ」(ネタバレ一部回避のために具体名は伏せています)にまつわる怪異が結局よく解らない。別シリーズでもいいのでそこの所をメインにした話に期待したくなる。
 それでも全ての謎のヒントは最後まで読んで振り返ったら最初からちゃんと提示されてる(作中の探偵だけが知り得ている訳じゃなく、読み手にもフェアに提供されてる)事に気づいて…唸らされた。

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