2009年11月10日火曜日

『首無の如き祟るもの』三津田信三

 奥多摩に代々続く秘守家の「婚舎の集い」。二十三歳になった当主の長男・長寿郎が、三人の花嫁候補のなかからひとりを選ぶ儀式である。その儀式の最中、候補のひとりが首無し死体で発見された。犯人は現場から消えた長寿郎なのか?しかし逃げた形跡はどこにも見つからない。一族の跡目争いもからんで混乱が続くなか、そこへ第二、第三の犠牲者が、いずれも首無し死体で見つかる。古く伝わる淡首様の祟りなのか、それとも十年前に井戸に打ち棄てられて死んでいた長寿郎の双子の妹の怨念なのか―。
 一気に読んだ。三津田信三の本の中では…といってもまだ刀城言耶シリーズしか読んでないけど、刀城言耶シリーズの中では一番読みやすかったと思う。…あくまで個人的にね。『厭魅~』は登場人物の名前が音読みするとみんな同じ(女性が)、『山魔~』は一族は必ず同じ1字を使っている(男性)という点で…登場人物の名前を一々把握せずにどんどん先へ進んでいく私みたいな読み方をする人には途中で「ちょっと立ち止まらんとついて行かれへん」てなモンですよ。勢いのママに読みたい衝動を我慢するのは辛い。『凶鳥~』は事件が冒頭に起こって、そこから先は試行錯誤シーンが続くから、人によっては退屈かもしれない(一気に読んでおいて退屈も何もないけど)。
 で、この『首無~』は全編通して事件。amazonのレビューにもあったけど、どことなく横溝正史を彷彿とさせる漢字がします。時代背景も戦中戦後という混乱期で、かつ都会ではなく『鄙』が舞台。現代のように当たり前のように電話があって、しかもそれは携帯電話で、ネット回線があって、世界中の情報が常に身の回りを飛び交っていたり、懐中電灯も当たり前のように数が普及してて、夜でも街灯があって、完全な闇とは切り離された現代…ではない世界。生活の傍に闇があった時代なんだろうなぁ…と。完全に戦後産まれな私なんかは想像するしかない時代ですが。
 で、ホントに一気に読んだ。読み始めたのが土曜の朝、7時台の電車で奈良に行く時に読み初めて、帰りの電車、家帰ってから…夜中まで。延々読み続けて読み終わって…スゴく怖くなった。こんなに読んだ後怖くなった本は久しぶりかもしれない…。

 で、次はコレ。
 どんなパラレルかと思いきや、表紙裏のアオリというか、文字を見るに、歴史群像新書と似たようなノリというか、方向性かなぁ…と。あの超イケメンの森蘭丸の文庫よりガチの歴史群像新書に近いニオイがしたので買ってみました。何だろうね…歴史群像新書の特徴って…とにかく戦のシーンの描写が細かいのかな? 歴史シミュレーションだと思ってるから、細かくリアルに書いてないとダメなのかもしれないけど。
歴史群像親書で伊達政宗主人公の『戦国覇王伝』を一気買いしたあの頃…それにくらべたら文庫1冊位…ねっ! …ということで次はコレ。他にも積み本はあるけどとりあえず。
 読み終わったらまた感想載せるかもです。(覚えてたら)

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