2011年7月15日金曜日

雪組『灼熱の彼方~コモドゥス編~』バウホール(初日)

 まず何よりも、だ。オデュセウス編見てないと多分イミフ。特に1幕。2幕はなんとでもなるけど1幕の展開がホントにイミフ。そして1幕終盤から怒濤の展開であわや置いてけぼりの危機再び。
 なぎしょはほぼ出ずっぱりでした。なんかね、並列関係のオデュセウス編、コモドゥス編ではなく、オデュセウス編が主で、これは従というか、スピンオフだと思う。
 初日挨拶の朝風くんは前半初日よりも確かに、慣れてる。これを貫禄と言うのかは解らんけど前半初日よりは各段に立て板に水。そんな朝風くんに「初主演を勤めました」と紹介されたなぎしょの初日挨拶は時折かみつつ詰まりつつ。詰まった時は後ろのさきながいい笑顔でした(さきなに限らないけど)。最後に「残すところあと2日、4回となり…」と言いかけて、違うと言い直してました。どっから出てきたんだその数字。言い直したときに後ろのりーしゃから朝風くんあたりまでの面々がみんな胸に手を当ててほっとした仕草をしてました。

 案の定ネタバレなしには語れない感じなのでこの先にはネタバレがあります。

 OPは照明ついたらいきなり板付き。勢揃い。錚々。なぎしょとさきなはせり上がり。前半の子役のシーンがなくなっていきなり総踊りというか。ダンスはカッコいい。ここでも人間関係が表されてて、まなはるとドミティア(言い方統一しろ)がすごく幸せそうに踊ってるんだけど…コモドゥス編でまなはるのこのエピソード、全カットなんや…まなはる、次に出てくるときには既に手負いなんや…。で、ドミティアも出てこないんだ。だから後半だけ見る人は終わってから( ゚д゚)ポカーン かもしれん…。
 なぎしょとさきなはそれぞれリフトあり。このためにマント外して、なぎしょは舞台上で、さきなは袖でまた装着するんだけど…二人とも間に合ってないよ…! この後もなぎしょは何度かマントを付けたり外したりするんだけど、割とひやひやしながら見てました。あの袖通さなきゃいけない構造が余計大変そうだわ…
 なぎしょのリフトが、最後のデュエダンもなんだけど、体格差を生かしたアクロバットなことしててΣ(゚Д゚)スゲェ!! と。いや、これ回す方も回される方もすごいわ。

 で。で、だよ。
 少年コモドゥスに剣の稽古をつける若きナルキッソス(髭なし)が見られたのでもう満足です(割と)

 割と1幕の間は時間軸がかなり飛び飛びで、ついていくのに必死だったのだけど、青年になったコモドゥスとオデュセウスの仲良い芝居があったのがとても眼福でした。にこにこしてるなぎしょとさきなが眼福ー(*´∀`*)
 しかし出征直前は仲良しなのに出征した直後にはもう暴君になってアンヌに言い寄ったりして、その短期になにがあった。ってのがホントに小出し。最後まで見ないと繋がらない。

 イベントを時系列に並べてみた。
 ■=オデュセウス編のみ、□=コモドゥス編のみ。数字は便宜上です。abは多分同じ日のこと。

1)オデュセウスが将軍になる
2)オデュセウスの初陣が決まる
3a)■オデュセウスがアンヌにフラグを立てる
3b)□コモドゥスがオデュセウス初陣に同行を願い出るが拒否される→□コモドゥスが出生の秘密を知る
4)□アンヌに言い寄る→アンヌ追放
5)■オデュセウスが初陣から帰ってくる
6)コモドゥスが暴君になる
7)■ドミティアが暗殺に失敗する→■まなはる殴り込み
8)ファナス一派がオデュセウス邸に逃げ込む

 3bの部分が全部の肝だった気がする。コモドゥスが、自分はマルクスの息子ではないと知った、ということがコモドゥスのアイデンティティの崩壊とイコールで、コモドゥスが前半から言ってた「私は何者だ?」「お前には私が何に見える」っていう言葉にかかってくる、ってのが正直、布石としてすごいな、と。この布石の打ち方はホント良かった。何気なく置かれてた石が一瞬にして意味を持ったんやもん。
 だから暴君になったのも頷けるし、「私には力しかない」「何としてでも皇帝に」というしがみつき方も、「愛などない、マルクスにも」という発言もこれで色を持つし、前半のコモドゥスの言動(の原点)に一本芯が通ってて、ただの考えなしの暴君じゃないというか。

 ウィビア→コモドゥスの愛は割と前半から家族愛ギリギリアウトくらいの兄上への愛情だと思ってたから、ウィビアがコモドゥスとはホントの兄妹じゃないと知っていきなり「愛してます」と言うことには特に違和感なかった。あー最後の背中押されたのね、くらい。
 むしろコモドゥスが私もだ、と言い出したことの方に( ゚д゚)ポカーン え、そうやったん…? 確かに優し過ぎるくらい優しかったけどシスコンやと思っておったよ…

 前半のウィビアの「お姉さまは怖くて…」を裏打ちするような兄妹シーンがあってさらさおねーさまがクールビューティやった…

 あと、ファナス一派の計画実行のあたりも時系列めもしとく。

1)ファナス一派計画実行→失敗
2)ファナスらは処刑台へ護送開始
3)コモドゥス、アンヌを再び追放
4)オデュセウス乱入→出奔
5)アンヌ乗船の報告→コモドゥスの慟哭
6)■ナルキッソス、エクレクトゥス反旗

 いやさ、最後のさ、護送中で手薄なのを狙って云々、って言うから二人が出てくるもんだと思ったのよ。出てけーへんし!! 出てけーへんのかい! 最後はなぎしょのせりさがりでした…いや、せりさがりはええねん。なぜそこに反乱軍が殴り込んでこないのかと(衣装替えの都合ですよねわかります)ざんねん。

 そういえば今回初めて上手で見てたので、フィナーレで朝風くんを見られました。いや、下手のりーしゃとともに一番外側やからとっっても見辛いんだもの…。
 パレードはなぎしょ…若干出遅r…? 衣装替え頑張れ。マジ頑張れ。マントの着脱ほんと頑張れ。こんな回数多いならその袖の輪っかはじゃまではないのか。エラソー輪っかだから必要なのか。

 話はさんざん前後するけど、まなはるもモブになってしまった太陽の剣、煌羽くん(ら)の歌はそのまま残ってます。(そしてなぎしょが踊る)が、その前のオデュセウスとアンヌのシーンはないので煌羽くんの高笑いもない、と。ざんねん(´・ω・`)
 手負いのまなはるを連れてオデュセウス邸に乱入するシーンはそのまま残ってて、ユリアの小芝居もそのまま。小芝居の時のファナス一派の様子を見てたら、みんな一様に(´・ω`・) みたいな顔してんの。まなはるも。で、「人違いよ!」のとこではファナス以外は「ええっ!?」みたいな顔。

 でさ、繰り返しになるけど、「血筋」っていう何よりも強い「自分の価値」を失ったコモドゥスの「自分は何なのか」「存在価値はなんなのか」「皇帝でない自分には何の価値もない」っていう思考回路はすごく…なんていうか、よくわかる。皇帝という存在に執着するのは、「皇帝コモドゥス」こそが自分の存在意義だからで、そう思うと、あの独りよがりな言動もしっくりくるんよね…
 だからアンヌの言葉はほんっとにグサッとくる。「あなたにはいきる意味が分からない」ってのはホントに、コモドゥスの存在意義全否定で、ものっすごいきっつい言葉やと思う。ていうかキツい。必死で存在意義を手にしようとしてるのに否定されたらそらきっついわ。
 そんな流れだから、コモドゥスの「偽りの、わたし」っていう慟哭がすごく深い物に見えた。必死で守ろうとしたアイデンティティにまた楔が打たれたというか。
 そんな訳で、泣いてしまいました。割と私舞台見て泣くことってないんだけど、知らず泣いてた。こんなけ気づかず泣いてたのは前は薔薇王子できりやんが「私は死にゆく」と歌ったときかな…あれも「自分とは何か」みたいなところがあったし…私こういうアイデンティティに関する所に涙腺のボタンがあるのやも。

 そんなこんなであと2回見るのでまた細かいところも見たいなーと。…あと、あとね…なぎしょの滑舌…割と感情的に早口で叫ばれると部分的に何言ってるか分からないです…ごめん。

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