2011年10月6日木曜日

「偽神譜 考古探偵一法師全の追跡」化野燐

鋳型が出土した北九州を訪れた一法師たちは、地盤の崩落で洞穴に転落する。そこで待っていたのは、50年前の発掘現場だった。さらにウイルス感染の危機に直面した一法師たちの前で連続殺人が起こり…。
 考古学探偵シリーズの3作目。7月に買った2作目、「鬼神曲 考古探偵一法師全の不在」と時間軸が一緒で、「鬼神曲」の裏で起こってたのがこの「偽神譜」。なのでもっかい「鬼神曲」に戻って記憶を統一せんとな…というのが読み終わった最初の感想。
 まぁ別に考古学でなくても、とかそういうツッコミは今までからあったことだし、それは棚上げしといて、中身がSFチックというかオカルトちっくだというのも別に…この作者が他に書いてるシリーズを見てたら気にならないし。
 それにしても相変わらず発掘現場というか調査現場の描写がリアルやなぁ…と。

 今回の発掘現場は土壙墓や甕棺墓。それも洞窟の中に土坑墓や甕棺墓が広がってるっていう…うわぁなにそれ実際にあったら報告書抱いて寝るレベルの遺跡。多分報告書もとんでもない分厚さのが第○次、とかって出るようなん。…いや、小説読みながらそんなこと考えんなよ、って話ですが。
 けど、この洞窟墓っていうのを見てまっさきに思ったのが鹿児島の…どこの島だったか、トゥール墓の報告書。あれは土坑墓でも甕棺墓でもないし、まして近世の墓なんだけど、洞窟ってか岩窟の中に人骨だけが大量に収められてる遺跡の報告書やった。他には最近見かけた沖縄の無人島にあるこれも岩窟墓…になるのかな。風葬した骨を古いものから岩壁の奥のほうへ動かしてる墓跡。もちろん作者が意識したり、文中から読み取れる遺跡の状態とは全然違うんだけど、たまたま記憶にあったこの2つの報告書がぱっと思い出されました。だからこの話の舞台も九州でしっくり来たんかなー…。いやしかし土坑墓・甕棺墓の中に人骨がたくさんって描写があったけど…え、そんなぎっちり残る? 貝塚やないのに。人骨が多すぎてそのカルシウム分で相殺しあって残ったとか? …深く突っ込むなってとこですかね。あ、けど土坑墓から人骨たくさんなら土井ヶ浜か。あそこ以上の人骨出土地って…ない…よね? 土井ヶ浜は洞窟ってイメージがなくてぱっと出て来なかった。あと、場所はずれるけど島根の稲目洞窟も洞窟墓といえばそうなるのかな…あれは舟形木棺だっけ…? あそこ行ったのが台風直撃中だったから長居できなかったしほんとに入り口までしか行ってないんだけども。
 内容は…「鬼神曲」の裏側だからやっぱり先に「鬼神曲」から読んどかないとなー…シリーズの最初がこれだとちょっとわかりにくいかも。しかし登場人物がよくわからなくなったのでもう一度読む返します…。
 あ、あと、今回は土層断面の剥ぎとりとか土坑墓掘り下げの時のあぜとか、「鬼神曲」では発掘現場の描写が一気に減ったのとは裏腹に現場の描写が増えてた! しかし土層断面の使い道が…なるほど…!! いや、真面目な人なら「そんなことに!」って言うけど物語とかトリック(?)として読むとなるほどそりゃ有効な使い方だわ…!
 相変わらずSNSとか、ネットを媒介にして育つ悪意とか、顔が見えない相手を知らないことなんて無関係に広がる協力・非協力関係だとか、単純なホラーじゃないところが余計に薄気味悪くて好きです。偽神の件はもうオカルトそのものという感じで、バカバカしいといってしまえばそれまでなんだけど、ネットじゃそういうオカルトがまことしやかに語られてる場所があるのも事実で、そう考えるとほんとに薄気味悪い感じがよく出てる。顔の呪いとかも具体的な挿絵はないのになんかこう…想像できるというか。カルトな説を本気で唱える人物とかほんとにいそうで(っていうか突っ込みどころ満載の自説を熱心に語る人って意外でもなんでもなくとても多い)。
 次作は12月に出るそうなので、それまでに2作目ももっかい読み返しておきます。

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