2011年8月6日土曜日

「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」奈良国立博物館

 前期の終盤に朝一で行ったけどそこそこ混んでた。正倉院展の比じゃないけど。
 各巻の前半部分を展示してるんだけど、ホントにどれもこれも保存状態良すぎるくらい良い。着色料も赤青緑オレンジ金…どれもすっごい鮮やかに残ってるし、文字部分がさらさら読めたらかなり楽しい読み物だと思う。解説拾い読みしながら絵の部分追いかけるだけでもスゴイ楽しい。
 後期日程で巻き直して各巻の後半を展示するらしいけど、後半部分の写真も各巻2シーンずつパネルにされてた。実際には後半部分にも前半部分と同数のシーンがあるなら…後半も見に行かないと見逃すシーンが大凡全体の1/4くらいあることに。
 それにしても巻物展示でこんなながーーーーく展示ケース使うのもスゴいな。あれ、間仕切り取って連結させられる展示ケースなんやろけど、設備面でもやっぱり格が違うな…。あと、メインが巻物だから常に視線は下向き、ケースの上はこれまたながーーーーくパネル貼り。各巻を1/2縮小した写真と、各巻4カ所ずつ(前半後半からそれぞれ2カ所)をピックアップして拡大解説。それが順路に沿って折り返し折り返ししながら進んでいくんだけどこれを単純に「己」の字ルートにしない所がまた…順路の総延長が伸びる分だけ人もばらけるし角にもケース置ける…なるほど…

 玄奘三蔵にまつわる場所として西安の写真とかも展示してあったんだけど…あれ、ここ行ったかなぁ…西安には行ったけどあまりいい思い出がないからほとんど覚えてない。
 インドで19世紀に発見・発掘されたという玄奘も修行したというナーランダー寺院跡、すっごい大きい寺院というか伽藍・僧堂…むしろそんな(仏教徒には)有名な場所が遺跡として所在地不明になってた事もびっくりだ。もっと脈々と守り伝えられて残ってるもんかと思ってしまうけどそれは日本人的な考えなのかな。国教というか、国の多数派としての宗教が入れ替わる(取って代わる)事もなく(融合はしてるけど)、日本列島という場所での宗教文化(特に後世に残る形で可視化されてから)の歴史もまだ短いし。
 もう一つの展示室では絵巻に関連する物の展示。
 藤田美術館所蔵の大般若経が300巻ちょっとずらっと並べられて(殆どは巻物状態で)て、実際には600巻とか…どんな途方も無い量やねんと思うしかない。そりゃ般若会で人海戦術で転読するわ…。
 これはスゴイと思ったのは絵図(地図)を拡大して壁一面サイズにした上で後ろに同サイズのモニタ置いて(だから後ろのモニタの光が絵図越しに透けて見える)絵図の道筋に合わせて道筋をなぞっては表示したり、地名だとかを表示させたりしてるとこ。なんていうか、金のかけ方がケタ違いすぎて…すげぇ。


中国古代青銅器 <坂本コレクション>〈青銅器館〉

 これまでは時間無かったりでいけてなかった青銅器館にも行ってみました。…いや、仏像館に会いたいと思ってた仏様がいらっしゃらなかったので…さ…。

 商(殷)末期から西周の青銅器を中心に戦国時代、前漢あたりまで。いや、もうね、この時代の世界最先端を行く中国の技術力パネェ。
 特に商末期~西周初わ期の青銅器を祖先祭祀に使ってた頃の装飾とかホントに…なにこの技術力、としか。あと、酒を温めるための器、としての進化がスゴい。祭祀と酒とは切り離せない関係だったのかな。漢字の全身みたいな甲骨文字で「父」「祖」「子」「母」とか書いてあって、いかにもな祖先崇拝。
 特にこの時代なのに酒を注ぐための道具が鳥の首を模してて、傾けるとくちばし部分が開いて酒を注ぐ仕組みとかなにその仕掛け…! あと、ヤカンみたいに上に持ち手があるタイプの青銅器、持ち手の部分は青銅製なのに縄だとか、植物質の取ってを模してあって…いや、これほんとに神話の時代から一歩抜けだした(と昔は存在すら疑われてた)王朝のものですか…っていう。もう目が点。その頃の日本は…とか思っちゃいけない。世界最先端技術すげぇ。
 あと、たくさん用いられてるモチーフが饕餮で。これが時代を下るにつれて「龍」になっていくのかなぁ…。それとも、この支配者=饕餮→龍のモチーフの流れには特に連続性はないんだろうか。謎。
 あと、確か西安の博物館かどっかで見た気がするんだけど大小の釣鐘をぶら下げてある楽器。構造的には巨大な鉄琴というかハンドベルというか…みたいなのも幾つか並んでて、これも突起一つで音変わるんやろなぁ…。
 一点だけ、前漢のだったか、金メッキされた青銅器が置いてあって、しかも「流行った」とか書いてあるから…え、権力者の家にはこんな金ピカのが並んでたんかいな…。
 日本の青銅器っていうとまず銅鐸が思い浮かぶんだけど博物館行って並んでる銅鐸とかまず間違いなく出土品だから多かれ少なかれ腐食してるけど、ここに並んでるのはほんとに綺麗なのが多いから、細かい模様とかもしっかり見えて…その時点で技術力の差って…。そりゃ朝貢するわ。当時の人にはものっっすごいカルチャーショックやろなぁ…。

 新館の特展やら仏像館の方はそれなりに人がいるのに青銅器館は旧館の離れみたいなとこにあるからかほんっっとに人来ないのね…私がダラダラ見てる間に1階2階あわせても10人も来なかった(私より後から来て先に出ていく)よ…。

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