2009年11月24日火曜日

『伊達政宗 最後の野望』志茂田景樹

徳川憎し!独眼流政宗がみた夢とは!?
伊達政宗の忠臣片倉景綱の子・小十郎が語る、政宗の野望。遣欧使節に託された打倒徳川へ密命。直木賞作家が書き下ろす迫力と興奮のエンターテイメント時代小説。
 こないだ買った本の感想を今更書いてみる。本自体は先週、宝塚往復の車内で読み終えたんだけども。…うん、さらっとしていた。読み終えて本文の最後のページをめくったら、普通その次って解説か後書きかじゃないですか。いや、確かに解説ではあったよ。いきなり「歴ーっしゅ!」から始まっていただけで。…うん、思わず窓で頭打ちそうになったよ。そんな斜め上っぷりは要らない…!
 さて、件の内容ですが。続きを読む前にお断りをば。

・ここから下は一部ないしほぼ全部にネタバレを含みますよ。
・しかもどれもこれもずれた視点から物を言いますよ。

 主人公が片倉重長です。…はい、ココ大事。昨今一部で大人気な片倉小十郎の息子です。…息子の方の片倉小十郎ね。
 支倉常長が微妙に活躍します。…微妙にという所がポイントですよ。ローマから帰ってきて、結局不遇のまま生涯を終えるのはその通りなのですが、裏で厚遇されているという美味しい立場です支倉常長。支倉焼きは冷やして食べると美味い(関係無い)
 真田の亡霊が付きまといます。…や、幽霊とかそういう意味ではなく、真田幸村の忘れ形見というか…なんというか。真田の遺臣というよりは真田の亡霊と言った方がしっくり来るような…幸村って深謀遠慮がスゴい! てな人は満足出来るかもしれん…。けど真田って結局(以下略)という冷めた味方をする人には不満かもしれん…。
 合戦シーンは無いよ。…いや、裏表紙とかだけ見て、歴史群像親書のようなものを期待していたから…合戦シーンは無かったよ…。
 全体通してさらっとした感じ。伊達政宗の最後の野望は結局叶わなかった訳で…うぉぉい! と思った。うん、なんつーか、シミュレーション的なIFではなく、歴史の裏側的なIFストーリー。こういうのもアリだったんじゃない? 的な。
 伊達政宗最後の野望と言いつつ、伊達政宗の出番はあまりなし。とにかく片倉重長。視点が片倉重長だからというのもあるけれど、とにかく出ずっぱりですよ片倉重長。好きな人には本当にオススメします。…が、とにかく伊達政宗! という人にはあまりお勧め出来ないかもしれない…出番…少ないよ…とても。
 冒頭に昭和に行われた瑞鳳殿の発掘調査にちらっと触れられてるんだけども、実際に瑞鳳殿で出土品…というと不敬って言う人がいるかもしれんけども…伊達政宗の遺骨であるとか、副葬品であるとかを見て、発掘調査の報告(今年8月の考古学ジャーナルにも載ってる)とかを目にしてると、ちょっとプラスアルファで楽しめるかも知れない。いや、でも伊達政宗の墓所で何が一番注目ってそりゃあ棺ですよ。そりゃエンピツとか蒔絵とかもスゴいけど、石灰でがっちり固めた遺骸を入れた甕と、それを入れたまま収められた籠でしょうよ。奥州藤原氏といい…仙台は墓がスゴいと思う。
 …それはさておき。
 とりあえず全体通してさらっとしたお話。特に後に残る…後味の悪さとかは特になし。
 あ、コレは書いておかねば。
 家光が末恐ろしい子。超どうでもいいかも知れんけども、伏線としては『その後』を思うのに大事なキーワードだと思った次第。10代の家光vsいい年の政宗の化かし合いな訳で…いやーそりゃ政宗ってばいい年して江戸城の廊下でいきなり相撲取ろうとかするわなこんな家光が将軍だったら。…と思うとこの家光の設定はスゴくしっくり来ましたよ。

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